「はい。……まず洛陽はご存じの通り、河南省西部に位置し、東に虎牢関、西に函谷関を備えた漢王朝の王都です」 まてやはわわ軍師 真・恋姫無双プレイ中の一コマ。思わず突っ込んでしまいました。色々とおかしなところの多い作品ではありますが、その中でもこれが一番酷かったと思います。三国志の話やっていてなんでいきなり現代の地名が出てくるんだよ!?許昌や建業など他にも時代的におかしい地名は出てくるんですがそれらとはまたスケールの違う間違いです。むしろどうやったらこんな間違いが出来るのか不思議でなりません。よほど馬鹿なライターにゴースト依頼でもしたんでしょうか。
飛びぬけて評判の悪い蜀ルートですが、ストーリー以前にこういった時代考察に関する部分での質の悪さが露呈しています。その被害をもろに被っているのが諸葛亮。シナリオライターの間違った知識が彼女の口を借りて披露される為、非常にバカな天才軍師というキャラクターになってしまっています。
正直言ってこういった箇所に突っ込みを入れる野暮だとは思うのですが、蜀ルートの場合間違った知識を賢しげに説明するため非常に不愉快です。わからないのは構わないですが知ったかぶりはするなと。
人物像や勢力図が史実と違うのは別に気にしません。恋姫無双という作品を作るために必要な事ですから。ただ、こういった部分での間違いはそうである必要性が無くただのシナリオライターの勉強不足でしかありません。プロ意識の欠如とも言え、どうしても不愉快に感じてしまいます。
そんなわけでいい加減ストレス溜まってきたので空気読まずにネタゲーに突っ込み入れてみたいと思います。多分大多数の人にはどうでもいい事でしょうが。
距離の単位について
「前方一里のところに敵陣を発見! 随所に炊煙が上がっているため、現在は食事中かと思われます! まだ我々には気付いていないかと!」
「えっ? 敵地でのんびり食事中? しかも俺達の接近に気づかずに?」 この時、その光景を想像して思わず笑ってしまいました。一里先に敵陣とかいくらなんでも気づかなさ過ぎでしょう。目と鼻の先じゃん。
この時代の一里は約三百メートル。最初に出てきたときからどうも違和感あったんですがどうやら現代の日本の一里と間違えて使っているみたいです。(現在の日本の一里は約四キロ)
三ルート共通で間違えているんですが同じ人が書いているのかそれとも誰か一人が間違った知識を他に教えたのでしょうか。
「典軍校尉の夏候淵、三日で五百里六日で千里」なんてフレーズがあるのに知らなかったのか考えなかったのか。
太守と刺史と牧
「徐州の州牧だって。……でも州牧って何?」
「以前は刺史と言われていたものですね。霊帝の時代に州牧という名に変更され、権限なども刺史や牧よりも大きなものになっています」 はわわ軍師再び。
この時代の漢王朝の行政区分は大きい方から州、郡(一部は郡の代わりに国。ややこしいので割愛)、県と続きます。で、一番大きい州の行政、財務、軍事の最高責任者が各州の牧。郡の場合は太守。刺史はもともと州単位で置かれた監察官。尚、牧を州牧と呼ぶ場合もありますがこれは知事を県知事と呼ぶようなもので同じ役職です。
この刺史と牧、時代によって呼び名が何度か入れ替わっていますが、後漢時代の呼び名は刺史でした。が、ややこしくなるのはその後。霊帝の治世に起こった黄巾の乱によって地方行政府の威信が低下。その対応策として出されたのが州牧の設立。名目上はあくまで監察官でしかなかった刺史に今までより強力な権限を与え、一州を統括させようというものです。それにともない名称も牧と改められる事になりました。ただ、それで今までの刺史が全員牧になったかというとそうでもなく、この時代以降暫く刺史と牧が併存するようになります。
ちなみに魏ルートでは曹操が陳留の刺史に就任しその後州牧に昇進した事になっていますが陳留は郡(もしくは国。ややこしいので以下略)なので刺史ではなく太守です。また、刺史から州牧に昇進する事は確かにありますが、権限が強化されるだけであって権限の及ぶ領域が広がったりはしません。
五胡とか南蛮とか
「五胡っていうのは、匈奴・鮮卑・羯・邸・羌っていう五つの部族の総称だよ」
「五胡は後漢王朝の西部に接する国で、最近は国境線でその存在を散見されています」 突っ込みどころは色々ありますが、とりあえず五胡だの南蛮だのといった国はありません。むしろこの時代、外国という概念自体存在していなかったと思われます。
南蛮は文字通り南に住んでいる蛮族の意。南に住む漢民族以外の異民族を総称したものです。益州で反乱を起こし諸葛亮によって討伐されたのが有名ですね。
五胡は無論三国時代の後に来る五胡十六国時代から取ってきたんでしょう。時代がずれています。というか三国志関連の作品で五胡なんて単語が出てきたのは初めて見ました。三国志に親しんだ人にとっては異民族なら匈奴だの鮮卑だのの方がよっぽど馴染み深いと思うんですがなぜわざわざ五胡なんて単語を拾ってきたのか甚だ疑問です。これも多分ウィキペディア見てそのまんま書いたとは思われますが。
反董卓連合とか
物語上の展開として仕方ないとしても馬超がこの戦いに反董卓側として参加しているのはいかがなものかと思ったり。というのも大雑把な位置関係で言えば
涼州(馬超) 洛陽(董卓) その他連合軍
となるわけで。せめて挟撃するとかにしないと色々辻褄合わない気がします。
ちなみに史実では馬超の父の馬騰はこの反董卓連合には参加せず董卓側に附いています。董卓が殺された後はその後長安を牛耳った李カク・郭汜達に附きますが後に反乱を起こして敗北。その後今度は曹操に附きますが馬超が反乱を起こした為に処刑されます。ぶっちゃけ息子に殺されたといっても過言ではありません。
関係ないですが前作では男だった馬騰、さり気なく性転換を果たしています。
いい加減長くなったのでこの辺で。この作品プレイしていて思ったのが自分にとっては常識だった事柄も世間では全然そんな事ないという事実。三国志知っている人ならこの辺はみんな知っているものだと思っていました……。
民主・石井氏、麻生首相に漢字クイズで挑発→首相「『窶し』以外は皆さん普通に読める」→石井氏「おかしい、強弁だ!」 最初スレタイ見た時、ラサール石井がバラエティ番組で質問してるのかと思いました。誰が国会中の出来事だと予想できるよ?
ところで、十二個中三つ読めなかった私は漢字をもっと勉強した方がいいのでしょうか。