「稟のごはん、作ったから」
「え?」
唐突な楓の台詞に稟は間抜けな返事を返す。そこにあったのは突然の行為に対する当然の疑問。
だが、向かいに座る楓はそれ以上何も言わずただ黙々と食事を取っている。
自分の為に楓が用意した料理を訝しく思いながら、それでも稟はそれを無視する事が出来ずに席に付く。
暫し迷ったがそのまま素直に料理を口に運ぶ。
なめこの味噌汁を飲みながら、伺うように食事を続ける楓を盗み見る。楓の口の端が釣りあがっていくのが見て取れた。
なめこのぬるっとした感触が喉を通り過ぎていく。
途端、猛烈な吐き気に襲われ、稟は咄嗟に口を押さえた。手に持っていた箸が乾いた音を立てて転がる。
生暖かいものが体内から逆流してくる。
椅子から立ち上がり洗面所へと向おうとする稟だったが、こみ上げてくる胃液を堪え切れず胃の中のものをその場に撒き散らしてしまう。
二度、三度。嘔吐は一向に収まらず稟はその場でのた打ち回る。呼吸を整えようとするがうまくいかない。
吐瀉物の中に赤いものが混ざり始める。胃液で焼けた喉が鈍い痛みを訴えていた。
「ねえ稟、苦しいの?」
頭上から楓の楽しそうな声が聞こえてくる。
何か喋らなければと思い、必死に口を動かそうとするがうまくいかない。ただただ荒い吐息が口から零れ落ちる。胃液の匂いが鼻につく。
「苦しいんだ」
にっこりと、楓が独り言のように呟く。
(死ぬ……)
と、思った。
へなへなさんの
リアリアレビューを読んでふと思いついたこんな情景。こんな楓だったらリアリアも楽しかったのに。(そして世間では非難轟々)
遥かに仰ぎ、麗しのプレイ中です。う~ん、この雰囲気たまらない。
この作品シナリオライターが二人いますが、全然協調しようとしていないっぽいのが素敵です。ライターがそれぞれどのルートを担当したのかOHPで公開したのもプロデューサー達がその辺を良く分かっているからなんじゃないかと思ったり。
期待していなかった分校ルートから始めていますがこちらもなかなかよさげ。ただCGが少ない点だけはリアリアに劣ります。もっともリアリアはシナリオが薄いので相対的な印象ではあるのですが。
久しぶりに、いい作品に出逢えました。